こんにちは!IT解決コラム編集部です。
昨今、地球温暖化などの影響により日本はじめ世界各地で自然災害が多発しており、日本においては、地震、台風、水害などが毎年のように大きな被害をもたらしています。
こうした自然災害が発生した際に、電力インフラが被害を受けると、急に停電する場合がありますよね。急に停電が発生すると、処理中のPCやサーバ、ネットワーク機器などが強制終了され、場合によってはデータが破損するなど業務に大きな被害をもたらします。
特に「紙からの脱却を目指しデータ化を進めている企業」にとっては、こうした自然災害による停電は大きな課題となっています。
そこで今回は、そんな急な停電からオフィスを守ってくれる「UPS(無停電電源装置)」をご紹介し、特徴や選び方について解説します。
この記事の要点
●UPS(無停電電源装置)とは停電時に非常電源を供給する機器のこと
●UPSを選ぶ際には、給電方式・電源容量・バックアップ時間などが指標となる
1.UPS(無停電電源装置)とは?
UPS(無停電電源装置)とは、電源障害が発生した際にPCや機器などに電力を供給することで、業務を継続したり、あるいは安全にシャットダウンするための時間を稼いでくれる機器のことを指します。
電源障害は自然災害による停電だけでなく、ブレーカーが落ちたり、誤ってコンセントを外してしまうなどの人為的ミスでも発生します。
電源障害が発生し、PCやサーバ、ネットワーク機器が急に強制終了すると、システムやデータの破損につながってしまいます。
万が一に備えて、安全にシャットダウンできるまで電力を供給してくれるUPSは、オフィスにとって欠かせない存在です。
2.UPSの給電方式
上記のような特徴をもつUPSですが、給電方式が3種類あり、それぞれに応じて特徴や接続できる機器が違います。
導入を検討される際には、どのような機器に対してUPSを接続するのかを予めチェックしておくことをおすすめします。
①常時商用給電方式
通常運転時は、電源からそのまま電力を出力すると同時にバッテリーにも充電して万一の事態に備え、電圧変動や停電が発生した場合はただちにバッテリーから電力を供給します。
バッテリーからの電力供給に切り替わるまで瞬断が起こりますが、PCやサーバーなどの一般的なOA機器ではほとんど問題がありません。
・特徴
①通常運転時の消費電力が少ない
②出力波形は正弦波出力と矩形波出力の2種類あり
③小型・低騒音・安価
・最適な用途
オフィスや家庭などでの、電圧変動が少ないOA機器に適しています。
※ここで電圧変動とは、近くで容量の大きな電子機器を使用するなどで電圧が一時的に不安定になる現象を指します。
・接続機器
正弦波出力:パソコン、小型サーバなど
矩形波出力:ハブ・ルータなどのネットワーク関連機器、小型NASなどのパソコン周辺機器など
※レーザプリンタ等の一時的に大きな電流の流れる装置は接続不可
※接続機器の電力出力波形が正弦波・矩形波どちらに対応しているか予め確認することをおすすめします。
②ラインインタラクティブ方式
常時商用給電方式と似ていますが、通常運転時は電源からそのまま電力を出力すると同時に、電圧を変換するインバータを経由してバッテリへも充電します。
一定範囲(約82~120V)の電圧変動時には、電圧調整機能により100Vに近づけるよう調整することができます。
それよりも大きい電圧変動や停電が発生した場合は、ただちにバッテリから電力を供給します。
・特徴
①常時商用給電方式より安定した電力供給
②正弦波による出力
③高機能ながら比較的安価
・最適な用途
オフィスや家庭などでの、電圧変動が少ないOA機器に適しています。
・接続機器
サーバ、ストレージなど
※レーザプリンタ等の一時的に大きな電流の流れる装置は接続不可
③常時インバータ給電方式
通常運転時は電源からの電力をインバータを経由して出力し、同時にバッテリへも充電し、電圧変動や停電が発生した場合は、瞬断することなくバッテリから電力を供給します。
また、インバータは電源に含まれるノイズを取り除き、常に電圧を調整することができるため、安定した給電が可能となります。
・特徴
①高い信頼性
②高品質な電力
③ノイズ除去性能
・最適な用途
バッテリによる運転に切り替わる際の瞬断がないため、出力電圧・周波数が高く安定性が必要とされる機器や、電圧変動が大きい場所での用途に適しています。
・接続機器
サーバ、ストレージ、産業機器など
※レーザプリンタ等の一時的に大きな電流の流れる装置は接続不可
3.UPSの電源容量
UPSを選ぶ際には、接続機器の電源容量をすべて足した数値以上の電源容量のものを選ぶことが望ましいです。
接続機器の電源容量は、仕様書や側面、マニュアルで確認することができます。機器によっては、VA(ボルト・アンペア)、W(ワット)の3種類の単位がバラバラに表記されているかと思います。
それぞれの単位の関係性は以下のとおりです。
・VA = A × 電源の電圧 = W÷力率
・ W = VA × 力率 = (A × 電源の電圧) × 力率
※力率とは、電力の使用効率のことを指し、機器によって異なります。もし不明な場合は1.0で計算することをお勧めします。
以上により、単位がバラバラでもまとめて計算することができます。
4.バックアップ時間
UPSを選ぶ際には、電圧変動時や停電時に、サーバやPCなどの接続機器を安全にシャットダウンするのに必要な時間を設定し、その時間だけ電力を供給できる機器を選ぶことが重要になります。
電力を供給できる時間は、各メーカーの仕様書に記載されていますので、そちらをご確認ください。
なお、UPSのバッテリは、経年劣化により容量が減少していくため、必要な電源容量の2倍の容量のものを選ぶことがおすすめです。
5.よくわからないときはプロにご相談を
今回は、UPSの選び方についてご紹介しましたが、いざメーカーのページを見ても、「難しい説明ばかりでよく分からない!」という方も多いかと思います。
そんなときは、オフィスのプロへご相談することをおすすめします。
MJEは、これまで約1万6,000社の店舗・オフィスのインフラ改善に携わってきた実績があります。
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